ドーナツとギター

 僕はドーナツが結構好きでよく食べる。この前ミスタードーナツポンデリングを食べていたら、目の前にある紙ナプキンの箱に「怒りながらドーナツを食べるのは、難しいね」という文句が書かれていた。なるほどなぁと妙に納得してしまったのだが、たしかに怒りながらドーナツを食べている人を僕はまだ見たことがない。怒っていても「はい」とドーナツを渡されると「だからさ・・(もぐ)いや、まあ、(もぐもぐ)まあ次は気を付けてね」みたいになんとなく怒りがやわらいでしまいそうだ。ドーナツはそういう人をほがらかにさせる要素(ドーナツ効果と僕はひそかに呼んでいる)を持っているのかもしれない。

 

 ドーナツをよく食べるからかどうかはわからないが、僕はあまり人に腹を立てないほうだと思う。そりゃこれまでにいくつか嫌だなと思うことはあったが(自転車を盗まれたりとか、すね毛を抜かれたりとか)でも怒ってやたらと物をぶっ壊すようなことはしない。別にそんなに怒ることでもないか、とわりにすんなり流してしまう癖がついている。昔見た『アメリカンヒストリー』という映画で、老人がナチスに憧れている若者に「怒りは君を幸せにしたか?」と問う場面があったけど、怒っても人は特にいい気持ちにはならないようだ。(少なくとも僕は)それに何かに腹を立てるのはけっこう疲れる。

 

 でも自分が感じた嫌なことを溜め込んでいくと人は憂鬱になってしまう。だからそうした日常の中で感じている嫌なことを体から出す必要がある。怒ることも嫌なことを体から出す1つの方法だと思うが、僕は何か嫌だなということがあった時はギターを弾いて歌うことが多い。意識してそうしているというよりも、体が勝手にギターに向かってしまうのだ。シールドをアンプに繋いでギターのボーリュムを上げ、ジャカジャカと弾きながら大きな声で好きな曲を歌う。30分もすると僕の中にある嫌なことはきれいにあとかたもなく消えてしまう。

 ギターのいいところは他人を巻き込まないことだ。自分の話を人に話して自分の中にたまっているストレスを解消する人は結構いると思うが、それ(いわゆる愚痴)を聞かされている方からするとわりに大変だと思う。もちろんギターでも大きな音で鳴らしていたら近所迷惑かもしれないが、まあ基本的には1人で完結するのがギターのいいところだ。

 

              

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