僕の出会った有名人

                              

 ぎゅうぎゅうの山手線の電車の中でちょっぴりエッチな漫画をスマホでこっそり読んでいると「オっ君もそれ読んでるんだねっ!?」と声がしたのでハッと顔を上げると俳優の柄本時生(あのプロミスのCMに出てる人)だった、というようなミステリアスな出会い方を僕はしたことないけど、僕にもこれまで会った有名人は何人かいる。そんなわけで今日は僕が出会った有名人について書きたいと思う。

(だいたい僕がこんな例を思いついてしまったのはテレビのチャンネルを変えていたらプロミスのCMが何度も流れて彼の顔が僕の脳裏に焼き付いてしまったからである。現実の柄本時生おそらく携帯でエロ漫画を読まないし僕ももちろん読みません。あくまで僕のイメージです。ふー)

 

 えっと一人目は斎藤工。彼は実をいうと僕の通っていた中学校の先輩なのだ。彼は僕よりずっと前に卒業してしまっていたのだが、その時たまたま僕の中学校の校長先生に挨拶しにきていたのだ。斎藤工がまだ今みたいに有名になる前だから、クラスの彼の扱いは冷たいもので、「わざわざ彼を見に下に行くんだったら爪でも切るよ」ぐらいのものだった。でも中学生の僕はしっかりミーハーだったので「斎藤工!なんだか知らねえけどイケメンだったら見とくか」というなんとも浅い考えから授業のプリントと色鉛筆を手に下の階に降りて行った。(もちろんサインをもらうためのもの)実際に目の前で見る彼はかっこよかった。声も低いし、唇だって厚かった。僕がもぞもぞとヨレヨレの授業の裏紙とオレンジ色の鉛筆を差し出すと快くサインしてくれた。その時とても嬉しかったことを覚えている。だけど、そのサインは何かのノートに挟んでおいてそのまま無くしてしまった。今振り返るととても惜しいことをしたと思う。

 

窪塚洋介

 僕は大学一年生ぐらいの時に渋谷の家系ラーメン屋でアルバイトをしていた。そのラーメン屋に彼は来た。最初、僕は窪塚洋介と気づかなかったのだけど、(彼は有名人特有のマスクで顔を隠していて、迷彩のジャンパーを着ていた)彼が僕に食券を渡した時に気がついた。「あのピンポンの星野じゃん!」と大きな声で言いそうになったが、もちろん言わなかった。ぐっとこらえた。その後、彼にラーメンを出し終えてチラチラと彼の方を見ていると(それを感じ取ったのか)彼はチャーシューを2枚追加した。それもとてもクールに。「兄ちゃん!チャーシュー!チャーシューちょうだい!」とヒステリックな声は出さずに。うちの店のスリッパみたにパッサパサのチャーシューが美味しかったらしい。その後、彼は颯爽と店を出ていった。彼が食べ終わった後の皿を下げに行くと、一口だけかじった2枚のチャーシューがきれいにそのまま残されていた。僕が出したものだ。なぜ彼は食べもしないチャーシューを注文したのだろう。僕への挑戦状だろうか。わからない。だから今でも窪塚洋介を映画などで見かけると「どうして追加したチャーシュー残したのかな」とつい考えてしまい映画に集中できない。

 

 来週は「ビニール傘」です。また読んでもらえたら嬉しいです。